<基調講演要旨>

 

基調講演I:牧野成一 教授

タイトル(日本語):「文化能力はどうやって測るか。」

 

要旨(日本語):

OPIは目標言語の話技能のプロフィシェンシー・レベルをインタービュー方式で判定するためのタスク中心のテスト法である。OPIに含まれているロールプレイでは文化能力の一部である待遇表現も測ることができる。今までやってきたOPIのデータを見てみると、ロールプレイの場合にしろ、会話・対話モードの場合にしろ、ターゲット文化を話題にすることによって、文化能力も同時に測れるのに、文化をただ話題として取り上げている場合が多い。さらには被験者の文化能力が弱いために言語能力が発揮できない、あるいはその逆の場合がある。

この講演では、OPIに文化能力のアセスメントを組み込むために(1)言語文化と非言語文化の関連性、(2)従来のOPIデータ に現れた非言語文化の扱われ方、(3)第2言語習得に対応する第2文化習得、(4)OPI の枠組みの中での文化能力測定の基準、の4点に絞って、検討してみたい。最後に文化能力の抽出法と判定法について提案をしたいと思う。

 

タイトル(英語):Can we integrate assessment of cultural competency into the OPI?

 

要旨(英語):

The OPI is a task-oriented testing method for rating proficiency level of speaking in the target language. Role playing included in the OPI can assess sociolinguistic ability to express a range of politeness as a part of cultural competency. The past Japanese OPI data show that in both conversation/dialogue mode and role play mode, culture has been included only as a topic even though cultural competence can be assessable simultaneously with the OPI. Furthermore there are cases that the examinee cannot fully perform linguistically because his/her cultural competence is weak, and vice versa.

In my talk I would like to examine the following four points in order to integrate assessment of cultural competence in the OPI: (1) Relationship between linguistic culture and non-linguistic culture, (2) Examination of how non-linguistic culture has been treated in the OPI, (3) The Second Cultural Acquisition (SCA) as against Second Language Acquisition (SLA) and (4) Guidelines for cultural competency within the current OPI framework. And at the end I would like to give some proposals on how to elicit ratable samples and to use it in final rating.

 

基調講演II:宇田川洋子 先生

タイトル:香港の日本語教育とプロフィシェンシー ―調査報告と今後の課題―

 

要旨:

この発表では、日本語教育アドバイザーとして関わっているさまざまな日本語教育活動の中で、プロフィシェンシーに関連の深いものを中心に取り上げながら、香港の最近の日本語教育事情を紹介したい。

香港の教育改革に伴って2011年から導入された大学入学資格試験であるHong Kong Diploma of Secondary Educationの日本語試験に関する教員のニーズと教員研修の実施状況、また、日本語能力試験の応募者を対象に実施した調査から読み取れる最近の香港の日本語学習者の傾向などについて報告する。

 


 

<講演者略歴>

牧野成一 教授

早稲田大学文学部で学士号(英文学)、東京大学文学部で修士号(言語学)、イリノイ大学で博士号(言語学)を取得。イリノイ大学日本語及び言語学の助教授、教授を経て、1991年から2012年までプリンストン大学日本語及び言語学教授。現在、プリンストン大学名誉教授。1996年より毎夏コロンビア大学の夏期日本語教育修士プログラムの教務主任を務め、日本語教授法、談話文法、言語文化学、認知言語学を担当。1990年3月よりOral Proficiency Interview(OPI)トレーナーとして毎年日本語のOPIワークショップを開講。単著・共著多数。主要著書は、『くりかえしの文法』大修館(1980)、『ウチとソトの言語文化学‒文法を文化で切る』アルク(1996)、『Aspects of Linguistics: In Honor of Noriko Akatsuka』(久野・Straussと共同編集)くろしお出版(2007)、『A Dictionary of Basic/Intermediate/Advanced Grammar』Japan Times(初級1986、中級1995、上級2008)など。2001年、MLAの外国語教育学科会より外国語教育への貢献に対して賞を受賞。2004-2005年全米日本語教育学会(ATJ)会長。2007年、日本語教育学会賞受賞。

 

宇田川洋子 先生

国際交流基金海外派遣日本語教育専門家として、1988年から、中国大連外語学院、インドネシア大学、オーストラリアのビクトリア州教育省、国際交流基金ロンドン日本文化センターなど、7都市の日本語教育機関に赴任。現在は香港日本語教育研究会に日本語教育アドバイザーとして勤務。最近関わっている主な分野は、教師研修、初等中等教育、日本語教授法、コースデザインなど。